「人の愛と神の愛」29:31〜30:24
ヤコブは叔父ラバンのもとでの20年の生活の中で12人の息子、1人の娘を授かります。レアとラケルはヤコブの関心を自分に向けるため、競うかのように子供を持とうとしました。それぞれが自分の女奴隷にもヤコブの子供を産ませ、数にものを言わせようとしているようでした。このような互いが一歩も譲らない男女の緊張関係には共感するところがあるのでしょうか、人の愛というのは民族を越えて古今東西の芸術の題材になってきました。出産は現代でも時に命を失うことがあります。姉妹は命がけで争っているのです。男女の愛のもつれを笑う人がいるかもしれませんが、親子の愛ならばどうでしょうか。子のためならば譲れない、一歩も引くことが出来ない切実さは時に人を傷つけもします。聖書はなぜこのような人間の愛を赤裸々に語るのでしょうか。それは人間の愛を知らなければ、人の愛を越えた神の奇跡の愛を理解できないからです。神の愛は「神はそのひとり子を賜ったほどに、この世を愛してくださった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。」と聖書に示されています。神は絶対に譲ることの出来ないひとり子であるイエス・キリストを、私たちを罪と死の支配から救うために渡されました。そしてキリストは機械的に神に従ったのではなく「人がその友のために自分のいのちを捨てること、これよりも大きな愛はない」と語り、ご自分の愛を示されました。十字架は、人間の愛を越えた神の奇跡の愛の業なのです。
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