「怒りと恐れを覆う愛」創世記32章
神の介入もあり平和裏にラバンと別れ帰郷するヤコブには、まだ向き合わなければならない問題が残っていました。兄エサウとの関係です。ヤコブは何も持たず故郷を離れましたが、今は豊かになり多くの家族に囲まれ故郷へ凱旋するのです。しかし自信に満ちているわけではありません。エサウに対する恐れ・不安がありました。ヤコブはエサウの怒りをいかにしてなだめるか、心を砕きます。もしエサウが攻撃してきても逃れることのできるように宿営を二つに分けます。恐れに基づいて画策するヤコブは自らの知恵・力によって解決しようとしますが、エサウに会う前の夜、神の人が現れヤコブと対決します。神の人はヤコブの腰を打ち、歩行を困難にしました。一人で逃げることもままならなくなったヤコブは、完全に神にお頼りしなければならなくなったのです。ヤコブ=押しのける者・だます者という自分の本性を神の前にさらけ出して「私は弱い者だから助けて下さい」と真実に向き合ったヤコブに、神は「イスラエル」の名を与えます。怒りや恐れを生じさせる問題と誠実に向き合っていく中で、自我が打ち砕かれ自分の本質と向き合った時、私たちは神の愛による取り扱いを知るのです。
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