「真理を伝える」使徒行伝24章
シリヤ州ユダヤ総督府のあるカイザリヤへ護送されたパウロは、大祭司アナニヤが弁護人テルトロを連れて来て訴えを起こした為、総督ペリクスの前に呼び出されました。テルトロはパウロがナザレ派の首謀者であり、民衆を扇動し問題を起こし、神殿を汚そうとしたと罪状を雄弁に並べ立てましたが、パウロはそのような事実はない、訴えるべき当事者が出頭して告発すべきだと反論しました。当時のローマの法律では訴える側に証明責任があったのですが、アナニヤ側は事実と異なるでたらめの告訴だったので証人も証拠も提示しようがなく、「ペリクス閣下ご自身でお調べ下さい」と言うしかなかったのです。ところでこのペリクスは妻ドルシラがユダヤ人の娘であり、クリスチャンに対する詳しい情報を得ていたので、「守備隊長ルシヤの証言を待つ」と言って裁判を延期しました。そして妻と共にパウロから「この道」の信仰について話を聞きましたが、正義と節制、未来の審判について語られると恐れを感じてしまいます。その後もパウロから金をもらいたい下心からたびたび話し合いはしましたが、ユダヤ人の機嫌を損ねたくないため二年間軟禁したままでした。いつの世でも、真実と真理は心を揺さぶる力があります。人によっては耳の痛い話であったとしても、キリスト教は古代ローマの倫理観を変える力がありました。私達は言葉巧みに語れなかったとしても、「この道」に生きることを通してキリストの愛を真実のものとして証言できますように。
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