「妬みと怒り」士師記12章1?7節
首領エフタが活躍したのはおおよそ300年あった士師の時代の分岐点、イスラエル部族間の関わり・繋がりといった連帯意識がうすらいだ頃でした。エフタ率いるギルアデ人たちがアンモン人との戦いに勝利した後、エフライム族がその勝利に言いがかりをつけるため、わざわざ兵を率いてヨルダン川を渡ってきました。開口一番「なぜ我々に話を通さなかったのか」「お前の家に火をつけ、お前を燃やしてやる」と脅します。エフライムとしてはイスラエルの中心であるという自負(※長子の権、神の祝福の継承者:創世記48章)による高慢から、自分たちに報告連絡なしに勝手なことをするとはいかなる料簡か、とエフタをねたんだのです。エフライムはこれまでにも、カナン入植にあたり割当地についてヨシュアに不満を漏らします。エフライム出身のヨシュアは彼らをたしなめます(ヨシュア17章)。またギデオンがミデヤン人との戦いに勝利した時も、戦い後半に加わったエフライムはギデオンに文句を言います。ギデオンはエフライムの怒りを解き、平和に収めました(士師8章)。しかしエフタは彼らと違いました。初めはエフタも「有力部族だというなら率先して戦ってくれたらいいのに助けてもくれず、今さら言いがかりか」と理性的に反論していましたが、エフライムはエフタを見誤りました。このギルアデの士師について無知だったのです。エフタはアンモン人との戦いに勝利するため娘をささげました(※神は望まれていない)。エフライムはその勝利にケチをつけ、恫喝(どうかつ)したのです。血統を誇るエフライムは、出自に負い目のあるエフタ(正妻の子ではないと兄弟たちから家を追われた)に、二重三重に口撃します。「ヨルダン川東のギルアデはエフライム(彼らからするとイスラエル)から逃げた者ではないか」偏見の言葉はギルアデの人々をも怒らせました。口が災いして、部族間の争いによって42,000名もの死者を出す内紛がイスラエルに起こりました。「高ぶりは破滅に先立ち、心の高慢は倒れに先立つ。」(箴言16:18)のです。
9月5日 メッセージ要約
- 2021-09-05
- メッセージ2021