「主はあなたと共におられます」士師記6:1〜18
ギデオンは酒ふね(葡萄酒などを造る窪地)の中で小麦を脱穀していました。当時、穀類は風のよく通る広い丘の上などで行いましたが、度重なるミデヤン人の襲撃を恐れ、イスラエルは恐々と息を潜めるように生活していました。そのためギデオンも酒ふねに身を隠すようにして脱穀していたのです。そんな恐れと不安に満たされていたようなギデオンが「主の勇士」として召命されたのです。「主はあなたと共におられる」という言葉にギデオンは疑問を口にします。なぜイスラエルは苦しめられる状況に陥ったのか?先祖たちから伝えられる数々の素晴らしい奇蹟の御業は今どこにあるのか、私たちは神に見捨てられたのか?人は苦しい状況が続くと、神が遠く感じられます。あの人たちには素晴らしい証しがある、しかし私は神に祝福されていないようだ、と。神の答えは「あなたがたは私に従わなかった」神の愛に対する裏切り、神に背いた報いにふさわしい裁きをイスラエルは受けていたのです。しかし神は怒りを下される者をもう一度抱きかかえ救い出すために、ギデオンを召し出されたのです。それに対しギデオンは「私は最も小さい者です、とてもできません」と言います。勇士とは勇気を持って強大な敵であっても怯まずに戦い続ける者を指す言葉ではないでしょうか。しかし神が求めておられる「主の勇士」とは、自分の力を頼りに困難に立ち向かう勇敢な者ではなく、神と共に踏み出し、共に歩まんとする者、神のご計画、主の業に参加しようとする者です。主がそれを行えと言う場合、たいがい私たちの手には負えない、人間の力ではできないことです。自分の限界を知り「私にはできません」と言うでしょう。しかしそれは神ご自身が行われるのです。神が働かれるところに招かれ、主の業に共に参加することは信仰のチャレンジです。「主の霊が彼をおおった」神の御霊に励まされ、主の霊に満たされてその働きを成すことができるのです。ギデオンは祭壇を築き「アドナイ・シャロム」神の平安を得ます。ギデオンを取り巻く状況は何も変わらず、敵に囲まれていますが、神が共にいるという平安が彼の心を変え、立ち上がって出て行ったのです。
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