「預言者サムエル」 サムエル上3章15〜21節
放浪のヨシュアの時代から300年、農耕し他民族との交流の中でイスラエルの生活も大きく変化しました。土着のカナン人からすると未だ領土を持つ国としてみなされないイスラエル部族同盟の時代は、価値観や宗教観も定まらない状態でした。法が整備され政府が確立するのはソロモン王の時代まで待たなければなりません。サムエルの時代、シロに契約の箱があり、そこが「主の宮」の聖所としてイスラエルの人は礼拝に来ていました。主の言葉が臨むことはまれにしかなく、幻が示されることもない時代に、祭司エリの元で献身していたサムエルは3度神から名前を呼ばれ、エリは主がサムエルを呼んでいると悟ります。エリの2人の息子は祭司の資質に欠けがあり、聖所において道徳的にも宗教的にも堕落が進むことを父親であるエリは正すことができませんでした。そんなエリの家の悲劇的な行く末をサムエルは主に示されます。「それを聞くものは耳が2つとも鳴る」という言葉通りに驚くべきことでした。師であるエリの家の滅亡を伝えることをサムエルは恐れましたが、何も包み隠さず話すようエリに諭され、ありのままを告げました。これは預言者としての大切な資質です。自分の考えを差しはさんだり、人情に流されて本当のことを伝えなかったら預言者としての働きはできません。神の言葉を預かる者としての準備期間、エリの家に対する主の御言葉が実際に成就するまでの間、サムエルはエリの元で聖書を学び、礼拝や犠牲のささげ方を学び、神の器として整えられていきました。「サムエルは育っていった。主が彼と共におられて‥」とあるように、霊的にも成長していきました。サムエルが神の言葉を聞いた時に「しもべは聞きます。お話し下さい」と答えたように、素直さは信仰者にとって必要な態度です。神様からの語りかけに耳をすます、聞いた教えを吟味し悔い改める、示された愛を喜んで受け取る、幼子のような素直さをサムエルから学びましょう。
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