「歴史と将来」使徒行伝7:1〜16
恵みと力に満ちたステパノは「知恵と霊とによって語る」ので、迫害する者たちは歯が立たず「モーセと神を汚す言葉を聞いた、聖所を打ちこわし〜伝えられた慣例を変えてしまう」という偽証をさせ、ステパノを捕えます。「訴えの通りか」と質問されたステパノは議会と聴衆に福音を説く機会だと、イスラエルの歴史に基づいて弁明しました。当然、大祭司やサドカイ人は十分に知悉していたイスラエル史でしょうが、イエス・キリストへの信仰に基づいた歴史観から語られると全く異なるものに聞こえました。大祭司らが大切にしていた神殿や律法などの権威の象徴を意識したのか、ステパノは土地も神殿も何もない、ただ信仰だけがあったアブラハム物語から語り始めます。何が行動の動機であり、何が判断の基準になるのか。ある人たちは自己利益(富、名誉や権力…)あるいは仕事、家族・友人を優先するかもしれません。その点、アブラハムは神の約束のみを信じ旅立ったのでした。まだ子どもはいないけれど将来、子孫は星の数ほど増え、400年他の国へ移り住み奴隷にされ苦役を受けるが、この地に帰って来る。その話にアブラハムは「子孫の苦労を取り除いて下さい」とは願い求めず、栄光の神を信頼し、語りかけに応答したのです。私たちは将来を描ききることは出来ません。自分の考えや計画が妨げられ、道が開かないように思えることもあります。ステパノもキリストを証しした後、石で打ち殺されました。イエス・キリストの福音からイスラエルの歴史を振り返ると、その痛み苦しみ、また人の愚かさをも越えた神の大きな計画を見出すことができるのです。
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