「恐れることはない。ただ信じなさい」 (ルカ8:40〜56)
イエスがガリラヤ湖の対岸ゲサラから帰って来るのを待ちわびていた民衆は、喜び迎えました。その群衆の中に娘を癒してほしい父親と、病を治してほしい女性がいました。会堂司ヤイロの12歳になる愛娘が死にそうだ。会堂司は地域の有力者であり、顔も広く医者や祭司に頼ることも考えたでしょう。しかしイエスが救ってくれると信じてすがったのです。ヤイロの家に行く途中でイエスが立ち止まり「誰かが私に触れた」と言います。大勢の人々がイエスを取り巻いているため、分かりません。私たちなら娘の元へ急ごうと「先生、今それは重要なことなのですか」と考えることでしょう。12年間婦人病で出血が治らなかった女性は、病気を負い目に「汚れ(レビ15:25,26)」のため社会から外れたところで人目を避けるように暮らしていました。この女性はイエスの噂を聞き「衣の房にでも触れることが出来たならば癒される(義の翼マラキ4:2)」と信じ期待して、律法を犯してまでも群衆にまぎれて癒しを求めに進み出て来ました。それを打ち明けた女性に「あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」と優しく声をかけられました。イエスは彼女を捜し、引き留め、公に告白させることで彼女のこれからの社会生活のために癒しときよめ・神の平安を宣言されたのです。イエスは病いの癒しだけでは終わらず、深く一人の人生に関わって下さるお方です。そこへヤイロ宅から娘の死を告げに人がやってきました。ヤイロの心が絶望に揺れる前にイエスは「恐れることをやめろ。信じ続けよ。娘は助かる」と励まされました。イエスは間に合わなかった、死の前に何が出来るのかと、人々があざ笑います。そんな人々の侮蔑をよそにイエスは娘を生き返らせます。両親は驚き呆然とします。地上における肉体の死は絶対的な終わりではないのです。死に勝利されたイエスは、「恐れるな。あきらめるな。信仰を失うな」と今日も励まして下さるお方です。
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