「神の子だった」マタイ27:27〜50
いわれのない侮辱や暴力を受けて、抵抗することも言い返すこともせず、ただじっと受け止め耐えるということはなかなか出来ることではありません。心が破たんしてしまいます。イエスは、自分に向けられた悪意と憎しみと呪いを全部引き受けて、十字架にかけられたのです。その場には祭司やユダヤの宗教指導者だけでなく、異邦人もふくめた民衆、そして処刑を執行したローマ兵たちがいました。ローマ兵たちにとってイエスが偽メシアだろうと何者だろうと(ユダヤの宗教的な問題には)関係がなく、これまでも何百といった人の死に職務で立ち会ってきた延長での処刑でした。いばらの冠をかぶらせ、「ユダヤ人の王」と書いた罪状害をつけておちょくり、イエスの着物を分けてくじ引きをし、死ぬ瞬間まで痛めつけ、からかって遊んでやろうとしていました。民衆もローマ兵たちも、彼が神の子キリストであることを知らないで、ののしり嘲り、危害を加えていました。その愚かさを、イエスは責め苦の中でも「彼らは何をしているのか分からないのです」と父なる神にとりなしました。相手に思い知らせるため、口をきわめて呪ったり暴力でやり返したりするのではなく、肉体的にも精神的にも徹底的に痛めつけられた中でも無抵抗でした。それは詩篇22篇の再現であり、人間の罪や愚かさを一身に背負われて十字架であがなわれる為でした。アブラハムがイサクをささげようとした時、神は身代わりの雄羊を用意されました(創22:13)。私たちがどれだけ正しい行いをしたとしても、根本的な罪の汚れをきよめ、罪の負債を払いきることはできません。しかし神ご自身が用意して下さった犠牲の羊・キリストの十字架の死により、完全にあがなうことができたのです。死ぬほどの苦しみ、侮辱、恐怖を全てイエスが私たちに代わって引き受けて下さったのです。キリストの十字架のあがないに感謝をささげましょう。
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